O邸工事 其の①~砂壁と壁紙の話~
譲り受けた家に住む。
これから生活を始める準備。
日本家屋。
昔ながらの薄い茶色というか、黄土色の砂壁の和室。
何か所か修理もあったが、
今回は部屋を明るいイメージにする事が主軸。
窓からの光は十分だったので、壁の色を変える事に。
光の入り方と壁の色は、部屋のイメージに大きく影響する。
黄土色の砂壁を、オーナーと相談し、白に変更にすることに。
方法はいくつかあるが、時間、予算、仕上がりの家のイメージなどの
条件のバランスを思い浮かべながら、方法を考える。
木の壁にするなどの方法もあったが、
今回は、もともとの和室も活かすイメージを考え、
塗り壁風のクロス(壁紙)を使用する事に決定。
下処理作業の開始。
クロスを張る為に壁に木を貼りつける。
どんどん隠れていく砂壁を見ながら、想像をする。
砂壁。
黄土色の中に、少しキラキラ光る素材も混ざっている。
すこし古い家でよく見かける。
当時は流行っていたのだろう。
この砂壁にあこがれていた人もいるだろうし、
だいたい、この家を建てた人は、どんなキモチで
この砂壁を選んだのだろうか?
砂壁の歴史とドラマを、勝手に想う。
下処理を完了させ、クロスを張り付け作業。
部屋、廊下、縁側。
家の壁が、どんどん白へと変化していく。
塗り壁風のクロスは、今までの柱との相性がよい。
白い壁になった廊下や縁側に出ると、漆喰の蔵にいるような、
静かなキモチになる。
明るく、清潔で、静けさのある、日本の家。
これから来る寒い季節に、この部屋で鍋などしたり、
夏の暑い季節に、蚊取り線香や扇風機が似合うのだろうと、
想像をする。
予定の壁がすべてが白に変わった時、感じる。
歴史を重ねてきた「砂壁」から、あたらしい時間を引き継げたのではないだろうか。
よこち
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